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リップが薄いほど向上するグリップ力!X-Factorシリーズ - MXサクションカップの開発を支えた人たちをご紹介
シニアデザインエンジニアとして、そしてオートメーション部内の研究開発課のコンセプトシステムデザインチームの一員として、MXサクションカップの発売に向けての私の役目は、チーム仲間の支援の下、当カップを開発、設計することでした。MXサクションカップの開発というアイデアは何年も前から出ていました。それは、あるお客様向けにとても薄いポリウレタン(PU)を製造していた、Gotlandにあるゴム合成品工場を訪れた時でした。そこで私は瞬時にサクションカップのことが頭に浮かびました。
しかし、その時は具体的なプロジェクトはありませんでした。Eコマースブームが起きて、一種類のサクションカップでプラスチックバッグもカートンも確実に搬送できる多目的なカップが求めれるようになりました。特に袋物は、より薄くなり、生物分解性の材質が使われ、その搬送条件はどんどん複雑になっています。そのことが、このようなアプリケーションでの摩耗に耐える極めて耐久性の高い、例えばPUのような材質の、とても薄いサクションカップというアイデアを呼び戻しました。
このアイデアを引出しにしばらくしまっておいた間に、やはりオランダのある会社との協働の中で、それは復活し、実現し始めました。その会社には、アマゾンと似た顧客がいました。同社は、Eコマースでのアプリケーション向けグリッパーの設計に取り組んでおり、私たちのサポートが必要でした。そこで、私たちは参加を決め、グリッパーの設計をサポートすることになりました。その作業を通して、サクションカップを交換せずに様々な製品のピッキングができるように、もっと多目的なカップを揃えるべきだと私は気付きました。Eコマースの世界は、スピードと多様な物のピッキングが全てです。実はこれが、MXサクションカップの開発という私の当初の考えのきっかけになりました。
長年付き合いのあるサプライヤーに最初の図面を見せた時、そのような薄いリップは製造できないと言われ、断られてしまいました。MXサクションカップの大量生産のための安定したプロセスを完成させるために、試行を繰り返し、製造手順を変更しました。
Piabでの8年間の経験から見ても、当社の創立70周年の観点から見ても、このMXサクションカップは、当社の長年の開発経験があって生まれたものだと私は考えています。つまり、それはデザインと技術的ノウハウという面で、これまでの全てのカップの影響を受けています。それら全ての専門技術が、このカップに注ぎ込まれています。これまでの開発及び一連のサクションカップを通して得られた経験無くしてMXカップの誕生はあり得なかったでしょう。
この開発で私にとってもう一つ重要なことは、仕事をする上で許されている柔軟性と自由です。この点でPiabは格別です。もちろん、それは多大な責任を伴います。私は自分独りの判断で仕事を進められますし、新しい事を自由に探究し、試すことが許されています。ノーと言わず、どうすればそれができるかを考えるのが、Piabスピリットです。誰もが新しいアイデアに寛容です。
私にとって製品はそれほど重要ではありません。社風こそが大事です。実際私は、この仕事に就いた時、真空技術にさほど興味はありませんでした。しかし、Piabの研究開発課の環境は、他の全ての部署と同様、オープンマインドでとても良いものでした。それが、私を予想以上にやる気にさせ、MXサクションカップという真に洞察から生まれた革新的手法の開発を可能にしました。