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積層造形(3Dプリント)業界における粉体搬送のオートメーション化
積層造形(3Dプリント)業界はこれまでプリンター技術に焦点を当ててきました。その高い成長率と能力向上に伴い、最大のユーザーグループである医療、航空宇宙、自動車業界にとって、金属粉体搬送のオートメーション化は、積層造形技術を標準的なプロセスとして確立させるための鍵となります。Piabの真空粉体搬送ソリューションは、試験済みで実績のあるシステムでこのギャップを埋めます。
2023年までに年平均成長率(CAGR)が25%になると推定される3Dプリント産業は、今日の産業に影響を与える最も急速に成長している技術のひとつです。この技術は、複雑な部品の設計と製造、プロトタイピング、小規模な連続制作に関わるユーザーに明らかな利点をもたらしますが、これまでのところ、主にラボとR&D目的で使用されています。しかし、技術が成熟するにつれて、ユーザーも成熟し、それに伴い、安全性、プロセスの信頼性、さらに品質に対する要求が高まっています。
印刷機械主導の開発には全体的なアプローチが欠けるため、可能な場合は周辺の工程と技術を開発または適合させ、プロセスフロー全体を一体化する必要があります。特に金属部品製造の分野で、3Dプリントの長期的な成功に貢献している主要なプロセスは、金属粉体搬送に関係したものです。
金属粉体搬送について
金属粉体搬送は、従業員に対する潜在的な危険性、爆発性、および高価格の原料であるため、特別な注意が必要です。
金属粉体の暴露は、特にそれを肺に吸い込むと、従業員に非常に大きな健康リスクをもたらします。さらに、重いコンテナやバーレルを持ち上げて取り扱うことで、背中や肩に深刻な負担がかかる可能性があります。
金属粉体は、大気中で爆発性物質となる場合があります。そのため、施設を保護するためにATEX要件が適用されます。システムを構築するうえでのさらなる考慮が、機器の爆発リスクを最小限に抑えることに役立ちます。
純金属または合金は高価な原料であるため、相互汚染や分級を回避し、プロセスから未使用の材料を回収することで製造中の純度を確保することが、経済的な生産システムを構築する鍵となります。
これら3つの課題を全て解決するのは、密閉性が高く、オートメーション化された金属粉体の真空搬送技術です。同様の課題に直面している製薬業界および化学業界で、真空搬送技術は最適なソリューションであることがすでに実証されています。
Piabのバキュームコンベアは、機器の高さを抑えた設計であること、清掃が容易であること、騒音レベルが低いこと、ATEX規格に準拠していることなど、3Dプリント業界で求められるニーズを満たしています。密閉性が高く、搬送物を搬送する際に粉塵の飛散と暴露の危険性が最小限に抑えられるため、Piabの真空技術は金属粉体搬送に最適です。さらに、他の粒子からの不純物による搬送物の汚染を防ぐことにより、金属粉体の粒子構造が維持され、3Dプリントの造形物の品質を適切に保つことができます。
広範なアプリケーションエンジニアリングの知識を持つPiabは、真空搬送のグローバルマーケットリーダーとして、3Dプリント業界の躍進をサポートします。Piabは、これまで様々な純金属および合金、そして製造ラインに対応した、プレミアムpiFLOW®pバキュームコンベアの導入を成功させてきました。これは、プリンター、ふるい、ホッパーの充填、またはプリンターからの金属粉体の回収にも使用できます。
プリンターへの金属粉体の供給
この工程では、未使用または回収済みの金属粉体が、ふるい機/金属バーレルやホッパーからプリンターに搬送されます。Piabのバキュームコンベアは、バーレルから直接粉体を吸引してプリンターに供給するため、生産性と従業員の安全性が向上します。
ふるい機/ホッパーへの金属粉体の供給
未使用または回収済み金属粉体のふるい機またはホッパーへの供給は、通常、手動で行われます。そのためオペレーターに大きく依存し、オペレーターに重労働をさせ、搬送物に触れるリスクを負わせることになります。さらに、すべての金属粉体をバーレル/コンテナから確実に取り出すことは困難です。その結果、貴重な原料が失われていきます。PiabのpiFLOW®pは、メーカーのバーレル/コンテナから直接ふるい機またはホッパーに効率的に供給することができます。これにより、生産性の向上、オペレーターへの依存回避、さらに、より安全で人間工学的なオートメーション化された作業環境を実現させることができます。バキュームコンベアは軽量であるため、ポータブル型のふるいソリューションに統合できます。よって、同じバキュームコンベアとふるい機のソリューションを、異なるプリンターで併用することもできます。
プリンターからの金属粉体の回収
金属粉体は高価で危険な材料であるため、プリンターから適切に回収することが非常に重要です。PiabのpiFLOW®pバキュームコンベアは、密閉システムを介してプリンターからふるい機またはバーレルに金属粉体を搬送することができるため、生産性が向上するだけでなく、従業員の安全も確保します。
金属粉体の搬送における重要な考慮事項
3Dプリントでの金属粉体の搬送は、高密度搬送をはじめとする、様々な課題があります。医薬品または食品分野の粉体が、一般的に1リットルあたり0.8~1.2kgである一方、金属粉体は最大8kgになる場合があります。金属粉体を搬送し続けるには、非常に強力な真空システムが必要です。同時に、生産プロセスで必要とされる量は比較的少なく、通常、1時間当たり100キログラム未満、つまり12.5リットルの量が搬送されます。
システム内の高密度と大きなフィルター、および、従業員の安全と現場保護を確保するために必要な排気フィルターの追加により、適切な吸引力を達成するには、それに対応する大型の真空ポンプが必要になります。3Dプリントの工程における生産時間は比較的長く、実際の搬送時間は短くなります。piFLOW®pバキュームコンベアは、アイドル時には真空ポンプが自動シャットダウンします。よって、特にアイドル状態で稼働し続ける必要がある機械式ポンプと比較した際、エネルギー効率が非常に高くなります。したがって、自動搬送・自動充填のエネルギーコストが低く抑えられます。機械式ポンプとは異なり、圧縮空気によって生成された真空は、3Dプリントプロセスに熱を加えません。
設置面積が小さく、装置の高さが低いため、Piabの真空搬送システムは、3Dプリント全体またはポータブル型ふるいソリューションに導入するのに魅力的なソリューションとなります。さらに、軽量であるため、複数のプリンターに同じコンベアとふるいソリューションを併用できます。piFLOW®pは、頑強かつ精密な円錐形の設計で、爆縮のリスクをなくします。
3Dプリント業界のバキュームコンベアは、非常に厳しい要求に対処する必要があります。piFLOW–pは、強度があって洗浄が容易な、この業界に最適な素材とされる、ステンレス鋼で作られています。
推奨されるバキュームコンベア構成
3Dプリント業界において魅力的な搬送装置にするために、Piabはさまざまな3Dプリント原料、ステンレス鋼とアルミニウム粉体を使用して、多数の試験を行いました。これらの試験では、粉体が入ったバーレルまたはコンテナが、プリントが行われる場所とは別の場所に保管されていることを前提としました。したがって、200〜500キログラムの量の場合、最大50メートルの距離、最大8メートルの高さの差が達成可能でした。
内部試験と設計に基づいて、Piabは3Dプリント業界向けのバキュームコンベアでは次の構成を推奨します。
- piFLOW®p 粉体最大回収容量3リットル、200ポンプ、PLR02フィルター、配管接続口径32mm
- piFLOW®p 粉体最大回収容量3リットル、400ポンプ、PLR04フィルター、配管接続口径32mmまたは38mm
機器の選択によりますが、上記のセットアップでは、1時間あたり600〜1000kg以上の量を、10メートル以上の距離で最大8メートルの高さまで搬送することができます。上記の機器で、より短い距離の場合はより多くの量を搬送できます。または、Piabのエキスパートが、ニーズを満たすようにカスタマイズされたソリューションを構成することもできます。
フィードノズル、アダプター、さらにレシーバーに適合するモジュールなど、追加のアクセサリーを選ぶことができます。また、不活性ガスのアプリケーション用にカスタマイズされたソリューションや、コンパクトスタイルのコンベアも利用可能です。
Piabは世界中のさまざまな試験ラボで、お客様に合った金属粉体の搬送試験を提供しています。