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piCOMPACT®は、ニプロ社のガラス製医薬品容器の生産に必要な真空性能を提供しています。
ニプロファーマパッケージングジャーマニーでは、PiabのpiCOMPACT®エジェクターとシリコンベローズのサクションカップが生産ラインで使用されています。年中無休で稼働し、1日当たり32,500サイクルという非常に高サイクルのアプリケーションで使用されており、耐久性が高い真空エジェクターが求められます。
医薬品業界では、信頼性と効率性が重要です。これは、例えば在宅治療用のインシュリンや血栓治療薬で使用されるカニューレ付きの使い捨て注射器の製造にも当てはまります。
ドイツ、ミュナシュタットのニプロ社では、それまで2ラインに使用していたシングルステージのエジェクターを、piCOMPACT®真空ポンプに置き換えました。これらはPiabのマルチステージCOAX®真空技術に基づいており、エネルギー消費量を最小限に抑え、高い初期真空流量により確実で迅速な把持力が得られます。ニプロ社では、各システムに4台のpiCOMPACT®真空ポンプを備え、2020年2月から稼働させています。その結果、工程の安定性が格段に向上し、ポンプ交換時の機器のダウンタイムによる無駄と作業中断が減少しました。
マルチステージエジェクターポンプでは、圧縮空気がノズルを通過すると、複数あるノズルの開口部から空気が吸い込まれます。ノズルの開口部にはステージ毎に大きさが異なる部屋(チャンバー)があり、これらが「圧力増幅」の役割を果たします。エジェクターのノズル内径の違いから、各ステージの開口部のチャンバーではそれぞれ異なる真空圧が発生します。 すべてのチャンバーの組み合わせにより、各チャンバーの真空圧は高まっていきます。システム外の大気圧がノズル内部に入り込み気圧を均衡に保とうとすることで、真空流量が効率的に発生します。
真空圧が高くなると、ゴム製のダイアフラムやフラップバルブがチャンバーの開口部をステージ毎に閉じていきます。最も深い真空度に到達するステージの真空チャンバーの開口部のみ、バルブで閉じられずに開いたままになります。真空を発生させるために供給される圧縮空気は、外部の吸い込まれた空気と共に排気口から排出されます。このプロセスはミリ秒単位で行われ、真空度が上下するにつれて継続的に繰り返されます。
マルチステージエジェクターは、特別設計のエアノズルと、段階的に内径が広くなるエジェクター設計によって、圧縮空気の流れを拡張し、エネルギーを最大限に活用します。その結果、圧縮空気と真空流量の一般的な比率は1:3になります。つまり、圧縮空気1cfmにつき真空流量が3cfm発生します。
エジェクターの選択は、システムのパフォーマンス、速度、稼働時間に大きく影響するため、あらゆるロボットシステムで重要な役割を果たします。最も重要なのは、エジェクターの効率性です。速度(サイクルタイム)は、エジェクターがどれだけ早く安全な真空度を発生できるかによって大きく左右されます。リークの度合いにばらつきがあるワーク(注射器のように表面が丸みがある、または曲がっていたりする)をハンドリングする場合、高真空における流量性能も同様に重要となります。ベローズカップを使用する高速機では、把持力を確保する上で初期流量性能が特に重要になります。マルチステージエジェクターは、シングルステージエジェクターと同じエネルギー消費量で比較して、効率性が30~50%向上します。マルチステージエジェクター技術の唯一のデメリットは、シングルステージエジェクターよりもモジュールが若干長くなることです。しかし、シングルステージエジェクターで同性能を達成するには、より大きなエジェクターノズルで不足分を補う必要があります。それにより、エネルギー消費量が増え、より大きなバルブが必要となりコストが増えます。さらに、処理中は騒音レベルが高くなり、発熱量も多くなります。
サイクルタイムが50~100ms以上の高速アプリケーションでは、バルブの速度が合計サイクルタイムに大きな影響を与えます。直動式バルブは、パイロットバルブ(一般的にはポペット式)への空気充填のための余分な容積を必要としません。直動式バルブは、バルブ全体に占める可動部品数が少ないため、MTBF(平均故障間隔)が改善されます。バルブの出力もまた速度に直結します。
制御機能一体型のコンパクトスタイルのエジェクターで使用されるほとんどのバルブは、24VDC電源用に指定されており、電圧の許容誤差が非常に小さくなっています。エンドユーザーが使用する電源をうまく制御できないことは珍しくありません。電源電圧と圧縮空気の圧力の組み合わせが仕様外であることがよくあります。ダウンタイムを最小限に抑えるためには、機械メーカーやロボットインテグレーターは、機器を選ぶ際に電源電圧の許容範囲に注意を払い、電源電圧の変動を許容する他の機能があるかどうかを確認する必要があります。パルス幅変調順応(Adaptive PWM)は、電源電圧の変動を考慮した方式です。
「さらに、piCOMPACT®は、これまで使用していたシングルステージエジェクターと比べて適応範囲がはるかに広く、シングルステージエジェクターよりも圧縮空気の変動を気にしなくて済むようになりました」と、ニプロファーマパッケージングジャーマニーのプロジェクトプラントエンジニアであるダニエル・シュミット氏は述べています。「当社の生産工程は時間で区切られており、連続的には動作しないため、これは特に重要なことです。PiabのこのpiCOMPACT®真空エジェクターで約1年半の間、休日以外は毎日作業してきました。その間何の問題もなく1,500万サイクル以上稼働し続けました。」
さらに、COAX®エジェクターは従来のエジェクターと同じ空気消費量で3倍の真空流量を生み出します。ポンプユニットは、空気供給圧が変動している時でも安定した性能を発揮します。この能力は、ドイツ、ドレスデンのフラウンホーファー研究機構工作機械・成形技術研究所での独立した比較テストで実証されました。これらのテストから、Piabのエジェクターが他社製のエジェクターと比べて同じ性能を出すのに大幅に少ない圧縮空気で済むことが証明されています。したがって、このポンプを使用することで、圧縮空気供給コストが下がります。
最新モデルのpiCOMPACT®23 SMARTの基本的な省エネ機能は、リークしない、またはリークが少ないシステムにおいて、真空が必要なくなった時点で自動的にエネルギー供給を停止します。ポンプをオフにするヒステリシス(再起動までの真空度の低減範囲)は調整可能です。この機能により、吊り上げサイクルにおける圧縮空気の消費量を最大90~95%削減できます。この省エネシステムには自動レベル設定機能が組み合わされており、これは、実際の状況に応じて真空保持の領域を決定し、省エネモードを遮断するか、再起動するかをサイクルごとに自動的に設定します。パルス幅変調順応(A-PWM:Adaptive Pulse Width Modulation)により、バルブが保持位置にある間はバルブへの電力を減らし、バルブの切り替え時にフルパワーにすることで最大速度で応答することができます。この機構は、機能性に影響を与えることなく電圧を変動させることができます。したがって、パルス幅変調順応は、消費電力を大幅に削減し、熱の発生を抑え、機器の頑丈さを高め、それによってグリッピングユニットの寿命を延ばすことができます。
「PiabのpiCOMPACT® 真空ポンプに変更したことに非常に満足しています。総所有コストを確認し、大幅に延びたサービス寿命、それに伴う交換のためのダウンタイムの削減、注射器の落下により生じる廃棄物の削減、圧縮空気使用量の低減などを考慮すると、このポンプをサービス寿命全体で使用することは以前のやり方に比べてコスト効果が高くなります」と、シュミット氏は財務的な観点からその利点をまとめています。
ニプロヨーロッパグループについて
ニプロヨーロッパグループカンパニーズは、1954 年創業の世界をリードする医療メーカーであるニプロ株式会社(日本)のグループ会社です。二プロ社は、世界中に29,000人以上の従業員を擁し、医療技術、医薬品、および医薬品包装容器事業を展開しています。